家族葬とはどんなものか。検索する人の中にはある程度のイメージはついているのではないでしょうか。初めて葬儀をする予定にありますという方からも「家族葬でやろうと思っています」という言葉がすっとでてくる時代になりました。
家族や近しい人の死について話をすることは「縁起でもない」と思う人が多いと思いますが、こういう葬儀にしようという話題はタブーの領域から外れてきているように感じます。
では、ここで言われる「家族葬」とは何を表しているのでしょうか。家族葬で葬儀を考えていますという人たちが思い浮かべている「家族葬」は、葬儀社が「家族葬」と聞いて浮かべるものと同じなのでしょうか、はたまた違うのでしょうか。今回はその点について整理して考えてみようと思います。
公的機関が定めている家族葬の定義をみてみよう。
さて、家族葬とはなんなのか。公正取引委員会が『葬儀の取引に関する実態調査書』というものをインターネットで公開しています。その27ページに葬儀の種類と内容がまとめられています。
家族葬の欄には「親族や親しい友人など親しい関係者のみが出席して執り行う葬儀。通夜・葬儀・火葬等は一般葬と同様に執り行われる。※本調査においては、参列者50名未満の葬儀を家族葬と定義した。」とあります。いかがでしょうか。
おそらく2025年現在からみると、友人などの親しい関係者が含まれていたら家族葬いえるのかな?人数が50名未満は多いくないかな?と感じませんか?
この調査書は2017年頃に発表されたものです。ですが、そこから8年しか経っていないのに、家族葬というのは大きく様変わりしたといえます。
では、2025年の家族葬とはどんなものなのでしょうか。これについては地域性による差異が大きく表れるということを前提に置いておかないといけません。
家族葬は“家族で執り行う葬儀”という意味だけではなくなっている。
前回のコラムで家族葬という単語の登場の後に、それまでの葬儀の形態を一般葬というようになったとお話ししました。2025年現在。葬儀の形態はさらに分かれています。
各社様々な名称のプランが設定されていますが、大別すると4種類になります。
家族葬、一般葬、一日葬、火葬式の4つです。
一日葬と火葬式の成り立ちについてはまた別の回でまとめてみようと思います。ここでは4つの形態の概要をみていきます。
①家族葬とは、家族親戚などの血縁者を中心に通夜と葬儀を執り行う葬儀プラン。
②一般葬とは、血縁者以外に友人、会社関係などから一般参列が出来るように訃報を広める葬儀プラン。
③一日葬とは、通夜を行わずに葬儀のみを行う葬儀プラン。
④火葬式とは、通夜と葬儀を行わず火葬のみを行う葬儀プラン。
各葬儀社によっては違うところがあると思いますが凡その概要は以上のような点でまとめられます。ここで注目していただきたいのは①②と③④の違いです。①②は参列者の関係や規模を基準にしたプランで、③④は葬儀の行程を基準にしたプランということです。一日葬と火葬式であっても「家族親戚などの血縁者を中心」に執り行うことは同じです。
おそらく家族葬より、より近い血縁者のみで行うことが多くありますので、家族葬より“家族葬”といえるかもしれません。
葬儀社がいう”家族葬プラン”とは”通夜と葬儀を行うプラン”であると捉えましょう。
葬儀社からすると「家族葬で考えています」といわれると通夜と葬儀を行うプランを基準に組み立てていきますが、家族(消費者)からすると一日葬や火葬式も“家族葬”です。
「家族葬」から行き着くイメージには葬儀社と家族(遺族)との間では差が生じてしまいます。この“差”が当然のように存在していることを前提にしておくことで、お互いのギャップを埋めることができると思います。
参考資料
コラム執筆の際に考え方の参考にさせてもらった書籍や資料をご紹介します。
参考図書:今井むつみ氏(著)『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策』
出版社:日経BP(2024/5/9)
何回説明しても伝わらないのは、伝え方や聞き方の問題ではなく、認知して理解するまでの思考回路の個人差があるからだよ。その思考回路は優劣ではなく、その人がどういう経験をしてきたかなどのバックボーンなどによるものという、”伝わらない”ことをコミュニケーションからではなく、認知科学の面から解説してくれた分かりやすい一冊です。
”業界の普通”は家族(消費者)の普通ではないということを、あらためて理解できたきっかけになりました。
参考資料:公正取引委員会が『葬儀の取引に関する実態調査書』170322honbun.pdf

